Clock
現代小説 刑事  
著作者:しーさー   著作者の作品一覧へ   ホームへ


[あらすじ]
比較的新米刑事のジャックは職場でゲーム三昧のダメ男。ぶっちゃけやる気がないジャックは上司との聞き込みがきっかけで色々な事件に出会うことになる。
Clock
[運命の聞き込み]
段々と相手の動きが速くなっていく…。結構焦ってくる。落ち着けジャックオールディ。刑事課イチの腕前だろ?また一つ相手の攻撃を何とかさばき、そして次の出方をみる。そして絶好のチャンス。これを逃せば確実にGameOverだ。手に汗がにじむ。喉も異様に渇いてくる。狙いを定め…打つ!
ガっ!
長い棒が穴の隣のマスにひっかかる。プランは台無しになった、GameOverだ。
「おぉう!しかし最高レベルで粘る奴もいるもんだな。」
「一応30万点はとったんだ。おごりだぜ。」
「あー…30万点だっけ?」
昼食を食うのも楽じゃない。

ここはアーツデルク警察署。食堂が充実していることで有名だ。それ以外では汚職がひたすら多いことが有名だ。俺にとってはぶっちゃけ、少しの書類整理とパソコンのゲームが日課みたいなもんだ。
そういえば朝食も食べていない。まずはスープとパンが食べたい。
スープのところにはおなじみのバァさんがいる。
「やぁジャック。スープかい?」
「そうだよバァさん…。」
「ところであんたの前世は虎だね。孤独に生きて、孤独に死んでいく…。」
「それは昨日も聞いたよバァさん。」
パンはおごりだから20個くらい持っていく。
とりあえず先輩のモスモスリーと、同僚の…『なんとか』のテーブルに座る。
「よぉジャック、また前世バァさんか?」
「あぁ、今日も虎だったよ。」
「すげぇな、前世が毎日一緒の奴なんてコイツくらいじゃねぇスか。先輩。」
「俺なんて昨日はカピパラ、今日はハムスターだったぜ。ホントにボケてんのかあのバァさん。」
「俺、昨日ツマヨウジで今日マチバリでしたよぉ。」
前世バァさんはどうも、スープをもらいに来た人間の前世を教えるのだが、ボケてるせいかそれくらいしか喋らない。最近バァさんが皆のネームプレートを見ていない気がするのだが、まさか全部記憶しているのか…。
「ところでジャック、午後は俺と聞き込みだ。」
「えー…と了解ーい。」
モス・モスリーの目には有無を言わせぬ力がある。とりあえず目つきが悪い。これで趣味が園芸だから信じられない。
この署は都心の方にあるが、今までデカイ事件が起きたことはなかった。まぁ、この日までは。

聞き込みは超単純なもので、最近頻発しているひったくり事件の現場周辺の住民に夜道の様子だとか、その時間は人通りが多いのかとか、あとは「気をつけてくださいね」くらいのぶっちゃけアイサツみたいなもんだった。しばらく歩いたんで、普段ゲーム勤務の俺の足はなんかギシギシいってる気がしてきた。
「もういいんじゃねぇの?あんま人気無いみたいだぜ、ひったくりの犯人さん。」
「あぁ?…じゃあ次のお宅で終わろうじゃねぇか。」
トタンの屋根とオンボロのドアがなかなかいい味を出して、ドアを開けても崩れないか不安だ。
「サーセン。アーツデルク署のモンですがぁ、いらっしゃいますかね?サーセン!」
「こらアレだな。居留守だ。ここのメーターとか結構まわって…」
その瞬間、連続した銃声が2、3秒。ドアの前のモスに当たった感じだった。
「おい、モス!大丈夫か!」
「チキショッ!右腕を打たれた。オラ、お前も銃を持て。」
イキナリ渡される拳銃。
「銃ってアンタ、なんで二丁も。」
「警察の銃規制緩和で所持許可になってるだろ。んなこたイイ!早く追うぞ!」
使ったことがあるものの、慣れてない銃をイキナリ渡されると、ぶっちゃけビビる。そうじゃなくてもイキナリの発砲だ。心臓から音が聞こえてくるようだった。犯人はもイキナリだったせいか、逃げるのが遅かった。それでも追いつけると言うわけでもなく、5分ほど追うと倉庫のような場所に行き着いた。倉庫の中は夕方なのに薄暗く、春先なのに肌寒かった。なにより積まれた荷物のせいで視界が悪かった。モスは右腕を抑えていたが、左利きだったので、銃は構えれるようだ。
「お前は後方待機だ。指示があったら出て来い。」
「うぃ。」
その後1分ほど沈黙があった。この間に一発の銃声があった。それで終わってくれればいいと言う俺の思惑を打ちぬくように、さっきのマシンガンの銃声が響き、最後に短いうめき声がした。音からして近かった。
「モス!」
そう叫ぶとちょっと間を置いて、こっちに発砲してきた。失敗した、何も言わなきゃよかった。立て続けに撃ってくる犯人を荷物の影から覗くと、下にはモスが横たわっているのがわかった。詳しいことはよくわかんないけど、もうすぐ弾切れするんじゃないかと思った。最初は休み休みだったが、段々と攻撃のペースが速くなっていく。結構焦ってくる。落ち着け。訓練ではそこそこの腕前だった。飛び出して犯人を見ると、なんか不思議な気分だった。まるで世界がゆっくりと動いているような、そして暗いはずの倉庫が明るく感じた。偶然なのか銃弾をギリギリで避けると銃声が止んだ。絶好のチャンス。これを逃せば確実にGameOverだ。手に汗がにじむ。喉も異様に渇いてくる。狙いを定め…撃つ!

モスは肺を撃たれていた。瀕死の状態で病院に運び込まれ3時間の治療を受けたが、ついにこの世を去った。
あの時撃った銃弾は犯人に当たった。しかし、急所をとらえず、犯人を逃してしまった。モスに駆けよると、苦しそうに喋った。
「お前…の前世…虎…なら、お前が…アレを。」
そう言って目を閉じたモスは胸ポケットに手を入れ意識を失った。後で渡されたのはモスが最後に手に握っていたという鍵だった。
翌日、例の家を捜索したところ、ひったくりの証拠となるものや、証拠隠滅のために破壊されたパソコンが見つかり、犯人は組織的に犯行をしていると確認された。俺がその組織と遭遇するのは、またそのだいぶ後だった。

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