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[あらすじ]
出会ったのは、美術館。
美術館独特の、神秘的な静寂の中で、不思議なことがおこったのです。 |
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あなたの天使
「美術館でさ、見張ってる人いるじゃん。座ったり、立ったりして。」
その監視員のバイト、やろうと思った。特に何もしなくていいだろうし、簡単だと思ったから。
そして1日だけ、大学が休みの日曜日に監視員のバイトをすることになった。本当に、ただ座っているだけ。
しかし、意外と大変なバイトだった。
まず、寝てはいけない。
あの、いかにも寝てくださいと言わんばかりの空間で、何時間も黙って座っているのだ。
誰かに話しかけられない限り・・・
次に、姿勢良くいなければいけない。
疲れてきて姿勢を崩したくても、だめ。背伸びをしたくなっても、だめ。
そして、見に来た人に尋ねられたことに答えなくてはならない。
はっきり言って、私は美術なんて興味がない。
小、中でやった本当に初歩的なことしか知らない。聞かれたって、何も言えずに終わってしまう。
このバイトは、ある程度美術をたしなんだ者がやるべきであると、座って美術作品とにらめっこしながら
考えていた。ただ、ブルーのグラデーションが書かれているだけの絵だった。
ふと、俯いていた顔を上げると、そこに一人の少年が立っていた。
高校生くらいだろうか?色白で、少し茶色がかった髪の毛、白いセーターに古びたジーパンを
はきこなしていた。一見、美術館にいてもおかしくはない感じの子だったが、一つだけ奇妙なことがあった。
その男の子は、展示作品ではなく、私を見ていたのだ。
少し、怖くて目をそらした。
「あの、退屈じゃありませんか?」
驚いて顔を上げると、その男の子と目が合った。
「い・・・いえ。あの。」
こんなことを聞かれるとは思っていなかった。
「正直言って、退屈じゃない?このバイト」
にこっと笑う。別に私は年下好きではないが、本気でかわいいと思った。
しかし、一体何の目的で私なんかに話しかけてきたのだろう・・・
「あなた、高校生?」
確かに、私はよく高校生に間違われた。ここでもか、と・・・
「いえ、大学生。大学2年生。」
「へぇ〜、年上かぁ。俺のタイプだなぁ。」
(何を言うか、コイツは!?)
私は、苦笑するしかなかった。
「名前は?」
「小此木 真衣。・・・あなたは?」
「名前かぁ〜。じゃあ、イマ。」
「イマ?」
「真衣ちゃんを逆から読んだ。ふふっ。」
(『ふふっ』じゃないわよ、人をおちょくってるのか?!)
「おちょくってないよ。」
驚いた。私の考えていることが分かるのだろうか?
「分かる分かる。真衣ちゃん分かりやすいもん!」
初めて会って、年下のくせに生意気で、、、でもなぜか和やかな気分になった。
最近、ストレスのたまることが多くて、ふさぎ込んでいる一面もあったが、
そんなことさえも優しく包み込んでくれる。そんな不思議な雰囲気になれた。
「真衣ちゃん、頑張りすぎちゃダメだよ。
俺は、いつも見てるから。自分らしく生きなきゃね♪」
そう言って、彼の唇が私の唇に触れた・・・
「えぇ?!え〜〜〜?!」
気が動転すると同時に、目が覚めた。
「夢?・・・夢か。」
そう思ってふと顔を上げると、そこには・・・
ブルーのグラデーションを背景として、さっきの男の子がこっちを見て微笑んでいたのだ。
私は、静かに自分の唇に触れた。
まだ、残っている。
温かい。
その作品の題名は・・・「あなたの天使」。
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