闇を喰らう者達〜たこ焼き編〜
コメディ小説 料理 ノンフィクション 冒険  文字数約2070字
著作者:燈麻美香   著作者の作品一覧へ   ホームへ


[あらすじ]
戦いは始まった。
味覚の限界を求めて、挑戦者達は『闇』に挑む。

※ノンフィクション
闇を喰らう者達〜たこ焼き編〜
若いとはどういうことだろうか?
身体能力?精神力?
いや、違う・・・


それは・・・


P「ねえねえ、『闇』やらない?」
危険な感じのする言葉で10代、20代の年頃ならば少なからず興味をそそられるだろう。


『闇』


一般で有名なのは『闇鍋』だろう。
そう、『闇』とは様々な食材を投入して食す事である。


『闇たこ焼きパーティ』開催!!!


先に述べておくが、これは私が体験したほぼ実話である。
会話には方言が多々入っている為、可能な限り標準語に近づけてある。


幹事であるPの家に集まったのは総勢6人だった。
私「どんな物、持ってきた?」
闇を楽しみにしていた私が友人、Sの材料を覗く。
おそらく強烈な闇を持ってきたのは私か彼女であろうという判断からである。
S「ナタデココ♪」
私「被った〜!!!」
ここで初っ端から被るというある意味奇跡。
しかもナタデココという闇物品が!
ドボドボと非情にも最初の闇物品が投入される。
U「うわ、これ具材が出るよ〜」
メンバーの中で一番料理上手、Uの苦戦する声がする。
他のメンバーも箸を手に取り突くが、逆にドロドロになって手伝いになっていない。
S「これ、闇じゃないし!」
この時はまだ皆笑顔だった。
しかし、これから始まる地獄をまだ知らなかった。


最初に焼けたのは当然、闇物品のナタデココ。
そして最初の挑戦者は私だった。
私「あつっあつっ・・・・・・あ゛じぃ!!!」
少し猫舌の私は外側が軽く冷めるのを待ってから食した・・・はずだった。
しかし、ナタデココを噛んだ瞬間、溶岩の如く噴き出した汁が容赦なく口の中を焼いたのである。
私「・・・・・こ、これ、凶器!!!」
しばらく身悶えた後、やっと言葉を取り戻した私の反応に、爆笑した友人達も興味から口に運び、次々と叫び声を上げていく。
その後は挑戦者達の死屍累々。
S「じゃあ、私次これ〜」
それでも懲りずに、笑顔でさらなる闇を投入するS。
まともな物をPやR、Mが入れる前の暴挙。
急いではんぺんやこんにゃくなどが投入されるが、半数以上は99%カカオのチョコレート。
M「・・・これ、一発で分かるんだけど」
傍観していたMが酒を片手に苦笑する。
チョコが染み出してあたかも焦げのように印をつけていた。
私「あはは、いったいどんな味がするのかな?」
最初に手をつけたのはまたもや、私。
ある意味チャレンジャーだ、と振り返ってみて思う。
「・・・・・・お゛え゛!!!」
吐き出そうかと思う程の衝撃だった。
何に例えるのが的確だろうか。
99%カカオのチョコは蝋燭チョコだ、と噂には聞いていたが、余りに酷すぎる。
甘さの欠片もなく、苦いうえに例えようのない味がする。
P「へえ、どれ」
続々後に続く勇者達、その後は語らずとも分かるだろう。


もちろん、まともな物も入れてみた。
タコ、イカはもちろん、 こんにゃく はんぺん、チーズ、スライス餅である。
普通に美味いが、そのうち飽きてきて材料の二重や三重の大量投入へと走る事となった。
もちろん、材料を余らせたくない、という切実な考えがあったのも述べておかねばならない。
しかし途中で何を食べているのか分からなくなったのは私だけだろうか。


だんだん酔いも回ってきて最終コーナーに入る。
私「あはははは、ついでだ〜!これ入れちゃえ!」
R「え゛え゛!!?」
酔った勢いで投入された私の闇素材、プリン。
もちろん桜海老など生地はそのまま。
一応言っておくが、最初から入れる為に持ってきたわけではない。
純粋にデザートとする為だった。


パクッ・・・


S&U「・・・・・・」
言葉の代わりに表情で語るとはこの事だろう。
共通するのは眉間の皺。
S「これ、食べてみなよ」
食べていない人間に細切れ化したプリン焼きが回される。


パクッ・・・


M「・・・これはやばい」


パクッ・・・


P「・・・これはやばい」
R「・・・これはやばい」
まるでテープのように同じセリフが繰り返し再生される。
1個のたこ焼きを5人でまわす非常事態である。
そんな中、ケロリとしている人間もいた。
私「別にいけるけど」
残念ながらそれは私であった為、彼らの体験した味覚を再現はできない。
私の感覚で言えば、クレープのような雰囲気である。
しかし他の5名の眉間の皺や表情を見る限り、決してオススメ出来る品でない事は確かだろう。
残りのプリン焼き数個は私が食す事で消滅した。


その後も日常のくだらない話、過去の話など、通常のパーティのような形で幕を閉じた。
しかし翌日の朝ごはん、それは余ったたこ焼きだった。
騒ぎ疲れの為に昨夜のような元気はなく、もそもそと口を動かしてたこ焼きを流し込む。
P「当分、たこ焼きはいいよね・・・」
R「うん・・・」
でも後悔なんて言葉で終わるはずがない。
私「SちゃんってチーズOKだっけ?」
好き嫌いの激しいSに好みを尋ねる。
S「牛乳はダメだけど、チーズならいいよ」
ニヤリと明らかに怪しげな浮かぶ笑み。
私「なら今度は『闇チーズフォンデュ大会』で☆」


その後、幹事となった私が皆に声をかけた時、『え゛、本当にやるの?』という声を上げたのはUだけであった。


若いとは・・・


『挑戦的』と言えば聞こえは良いが単なる『無謀』か『馬鹿』である。

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