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[あらすじ] とある河原に住むチビネコの『オリャくん』は、毎日エサ探しで大変だ。 そんな彼の住む河原に、一頭のアザラシが住み着いたのだ。
人間どもは、そのアザラシ見たさに毎日毎日ひしめいていたのだが…… |
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恩知らずでない猫
『恩知らずでない猫』
はくちゅん!ブルブルブル……。
オリャはネコだにゃん。この河原に住むチビネコだにゃん。
なまえ?なまえってにゃんだそれ。食べられるにゃん?
オリャはいま、たべものを探してるにゃん。オリャはいつでも腹ペコだにゃん。だまってたって、だ〜れも食べ物のなんか運んで来てくれないにゃん。だから自分でさがすにゃん。
でも、食べ物なんて、なかなか落ちてないにゃん。落ちてたって、カラスのクロ公達が持って行ってしまうにゃん。
せっかく“後ろ足で歩く生き物”が、そこらじゅうにおいて行ってくれる食べ物も、かたっぱしから持って行ってしまうにゃん。
う〜、おなかすいたにゃん。フラフラだにゃん……。
それにしても、最近やたらこの河原に“後ろ足で歩く生き物”が増えたにゃん。
きっと“アイツ”のせいだにゃん。
“アイツ”はいつも川の中にいるにゃん。
水の中にいてよく平気だにゃん。
オリャは水が苦手だからそんけいするにゃん。
だけど“アイツ”いつも独りぼっちだにゃん。
さみしそうだにゃん。
あれっ?
そういえば、オリャもそうだったにゃん。オリャは気が付いたら独りぼっちだったにゃん。
でも、それがふつうだから気にしてないにゃん。
さみしくなんてないにゃん……。
……でも“アイツ”は、いつもさみしそうだにゃん。
川の中から、いっつもこっちをみてるにゃん。
“後ろ足で歩く生き物”は“アイツ”が悲しそうな顔をしてこっちを見ると、みんな喜ぶにゃん。
“後ろ足で歩く生き物”は日増しにどんどん増えていくにゃん。
おかげでオリャは、食べ物が食べられるようになったにゃん。
きっと“アイツ”のおかげだにゃん。
これなら腹ペコにならないにゃん。
カンシャだにゃん……。
うにゃ?にゃぁーーー!にゃぁーーーー!!にゃにするだにゃん!
「ウフフ……こんにちは、カワイイ猫ちゃん」
うにゃー!にゃにするにゃん!はなせにゃん!ふ、不覚だにゃん……。“後ろ足で歩く生き物”に捕まってしまったにゃん……。
「あらあら、そんなに暴れないで……。大丈夫よ、大丈夫。なでなでしてあげるから」
うにゃぁ?そうなのにゃん?ホントにダイジョウブなのにゃん?信用できないにゃん……。オリャを取って食べたりしないのにゃん?
「大丈夫よ、食べたりしないから」
にゃん?おまえ、オリャのことばが分かるにゃん?
「いいえ、分からないわよ。でもなんとなく分かるのよ。猫ちゃん」
にゃんだぁ?変なやつだにゃあ。でも……おまえ、いいニオイがするにゃん。にゃんだか、なつかしいニオイがするだにゃん。ネムネムだ……にゃん。
「あらあら、よっぽどおねむだっだのね。気持ちよさそう……」
ゴロゴロ……ゴロゴロ……にゃん。
「おーい!悠里!悠里ったら!!もうっどこ行っちゃったのかと思ったわよ。なぁにぃ?その薄汚れた猫……。やだぁ悠里ったら、また猫なんか相手しちゃってさ。もうっ!今日はこっちじゃないでしょ。わざわざこんな所まで足を運んで来たんだから、猫なんて放っておいてあっち見に行こうよぅ!」
「あらあら、渚ちゃん。もう少しだけいさせてくれる?」
「もうっ!もうっ!悠里ったら!猫なんてどこにでもいるじゃない!ほんとマイペースなんだから!」
にゃにゃ……?うにゃーーん?にゃんだか騒がしいにゃん。おいおまえ、どうしたのにゃん?
「なんでもないわよ、猫ちゃん……。あっ、そうだ。猫ちゃんお腹すいてる?今ね、えびせん持ってるの。たべる?」
にゃにゃっ!!この香ばしいニオイは……えびせんにゃぁん!!オリャの大好物だにゃん!
「さあ、どうぞ。たんと食べてね」
うにゃ〜ん。それではいただくにゃん。ハグッ……あれっ?にゃんだこれ?カリカリするにゃん。えびせんてふにゃふにゃするものじゃにゃいの? でもいいにゃん。こっちの方がおいしいにゃん!いくらでもたべられるにゃん。やめられにゃい……とまらにゃいにゃん。
「あらあら、そんなに慌てて食べなくてもまだ沢山あるわよ。猫ちゃん」
「ねぇ!ねぇ!悠里ったら!そろそろ行こうよ。もう日が暮れるから、見られなくなっちゃうよ!」
「ハイハイ、渚ちゃん分かっていますよ。……それじゃぁね猫ちゃん、私行かなくちゃ。あなたを連れて帰りたいけど、事情があってどうしても連れて帰れないの。ゴメンね……、またね」
にゃぁーん、にゃぁーん。もう行っちゃうのにゃ?もう少しここにいろにゃん!オリャはおまえが気に入ったのにゃん。だからいるのにゃん。
「あらあら……、ゴメンね……。またえびせん持って来るからね……」
「ねぇ、悠里ぃ!早く早くぅ!!」
にゃぁーん!にゃぁーん!
「またね……猫ちゃん」
にゃあ……。行っちゃったにゃん。さみしいのにゃん……。
でも、これでよしとするにゃん!だってえびせん沢山食べられたにゃん。
きっとこれも“アイツ”のおかげだにゃん。カンシャするだにゃん。
そうにゃ!“アイツ”にアイサツがてらにお礼を言ってくるにゃん。でも……
でも、オリャは水の中には入れないし……。“後ろ足で歩く生き物”がいっぱいいて、川の側には近づけないにゃん。
にゃんだ!そうなのにゃ!夜中行けばいいにゃん。夜中なら“後ろ足で歩く生き物”もいないにゃん。
それまでねるにゃん。うにゃうにゃ……ねておくにゃん……。
うにゃ?うにゃ?……辺りが暗いにゃん。……そうにゃ、夜だにゃん。オリャの時間だにゃん。
にゃんだっけ?にゃにかすることあったようにゃ……。
そうにゃ!!“アイツ”にお礼を言いに行くにゃん!
あれっ?
にゃんだか川の方が騒がしいにゃん。
にゃにゃ!!にゃんでこんな時間まで“後ろ足で歩く生き物”が沢山いるにゃん!!これでは川に近寄れないにゃん!!
「おーい!見つかったか!?」
「ダメだ!そっちは!?」
「こっちもだ!……くそうっ!せっかく国民どもが喜びそうな、いいネタだってのに……。どこへ消えちまったんだ」
た、た、た、大変にゃん!!“アイツ”が“後ろ足で歩く生き物”に狙われてるにゃん!!このままじゃ“アイツ”食べられてしまうにゃん!!
いそがにゃいと!“アイツ”を見つけて知らせてあげるにゃん!
水は恐いんにゃけど、そうも言ってられにゃいにゃん!それが仁義というものだにゃん!!
ハァ……ハァ……ハァ……やっと川に着いたにゃん。この辺にゃら“後ろ足で歩く生き物”がいにゃいにゃん。
“アイツ”いるかにゃぁ?
えーと……。にゃんて呼んだらいいにゃん?まぁ、てきとうに呼ぶにゃん。
おーい!いつも水の中にいる、さみしんぼうの独りぼっちく〜んにゃーい!いるかのにゃぁ!いたら出て来るのにゃん!オリャ、お前にお礼が言いたいにゃん!
………………。
ここにはいにゃいみたいにゃん。あっち探してみるにゃん……。
にゃ……?にゃ!にゃあっーーーーーーーー!!
「よ、呼んだべさ?チビネコくん。……な、なんだべさ。ボクに何か用だべさ?」
にゃはぁーー!ハァハァハァ……。イキナリ水の中から出てくるにゃ!にゃん!びっくりしたにゃー、もう!
「だって君がボクを呼んだべさ」
にゃにゃ……、そうにゃった。じつは話があるのにゃ。まずはお礼からだにゃ。オリャはおまえのおかげで大好物のえびせんを沢山食べられたのにゃん。ありがとうなのにゃん。
「なんだか分からないけど、どういたしまして……だべさ。見かけによらず君って礼儀正しいんだね。ボクはアザラシのプー太。よろしくだべさ」
プー太くんにゃん。初めましてなのにゃん。でもオリャは知っていたのにゃん。
「チビネコくん、君の名前は?」
オリャか?オリャにはなまえなんてにゃいにゃん。オリャはいつも一匹ネコだにゃん。
「そうか、名前がないのか。それじゃボクが付けてあげるべさ。そうだ!『オリャ』君てのはどう?」
にゃにゃ!にゃんだかヒネリがにゃいけど……いいにゃ!!それもらうにゃ!
「へへっ!気に入ってもらえたべさ。お近づきのしるしだべさ」
にゃにゃ、オリャとプー太くんは今日から友達にゃのにゃ。
「……友達かぁ。オリャくん。とても言いにくいんだけど、ボク今日でここをお別れするだべさ」
にゃ、にゃんだって?!
「だってボク、おかあさんの所へ帰りたいんだもの。ボク迷子なんだ」
そうなのにゃ……。せっかく友達ににゃったのに。
「ごめんよ、オリャくん。ボク、くったらどこ、いられないべさ。水は臭いし、たべものはいないし。おまけに人間がボクをいじめるから……」
にんげん??もしかして“後ろ足で歩く生き物”の事にゃか? ……そ、そうにゃ!!こうしてはいられにゃいにゃ!“後ろ足で歩く生き物”がプー太くんを探してるにゃん!見つかったら食べられてしまうにゃん!!
「そ、そんなぁ……。ボク何も悪い事してないべさ。何でいじめるべさ。……しかたないべさ、今晩旅に出るべさ!」
そ、そうするにゃん!さみしいけどそれが一番にゃん!
「う、うん。ボクも君と出会えて嬉しかったべさ。オリャくんの事、忘れないべさ」
うれしい事言ってくれるにゃん。オリャもプー太くんを忘れないにゃん!それが友達だにゃん!
「うん!ずっと友達だべさ!」
うにゃ!!ずっと友達だにゃん!!
………………にゃにゃ?!誰か来るにゃん!きっと“後ろ足で歩く生き物”だにゃん!早く行くのにゃん!捕まったらおしまいなのにゃん!
「う、うん。でも……」
いいから行くのにゃん!“後ろ足で歩く生き物”はオリャが引き付けておくのにゃん!
「オリャくん!ありがとう!またどこかで会えるだべか?!」
分からにゃいにゃん!でもオリャたちはずっと友達なのにゃん!! き、来たにゃん!早くだにゃん!プー太くん、元気で行ってらっしゃいなのにゃん。おかあさんに無事に会えるといいのにゃん!!
「おい!!いたぞ、こっちだ!アザラシがいるぞ!」
じゃあバイバイなのにゃん!
「うん、オリャくんも元気でね。バイバイ……」
行っちゃったのにゃん……。あとは“後ろ足で歩く生き物”を引き付けるにゃん!!行くだにゃん!それっ!
シャァーーーーーッ!!
「わっ!!何だっ!!ネコがぁっ!ネコがぁ!襲ってきたぁーーー!!」
「わーーーーっ!機材がぁ!荒らされているぅ!わ、わ、わ、大切なディスクを持って行きやがった!!」
「捕まえろーーーっ!取り返せーーーっ!!」
「まてぇーーーーっ!!このドロボウネコーーー!!」
ハァ、ハァ、ハァ……なのにゃん。
“後ろ足で歩く生き物”はなんとかまいたのにゃん……。
プー太くん、無事におかあさんに会えるといいにゃん……
うにゃ。きっと会えるにゃん。
つかれたにゃん。オリャはまたねるにゃん。
おやすみなさいなのにゃん……。
さむいさむい日がいくつもこえたにゃん。
プー太くんは元気にしてるかにゃん。
オリャはあいかわらず、河原のさんぽだにゃん。
そういえばオリャのさんぽ道に、プー太くんそっくりの固いやつがいるにゃん。
そいつは話しかけても返事をしないにゃん。
でも、プー太くんにそっくりだからいつも近くで昼ねをするにゃん。
とっても気持ちがいいのにゃん。
まるでプー太くんといるみたいだにゃん。
うにゃうにゃ……
にゃぁーーーーーーーっ!!にゃにするにゃん!はなせにゃん!ふ、不覚だにゃん!!また“後ろ足で歩く生き物”に捕まってしまったにゃん!!
「こんにちは猫ちゃん。あらあら、そんなに暴れないで。なでなでしてあげるから……」
にゃにゃ?にゃんだかいいニオイがするにゃん。なつかしいニオイだにゃん。むにゃむにゃだにゃん……
「あらあら、猫ちゃん。ねむいの?せっかくえびせん持って来たのに……」
にゃにゃ!!にゃんと!えびせんもってきたのにゃ?!早く言うのにゃ!
「あらあら、そんなに慌てないで。沢山あるからたんと食べてね」
うにゃ、そうするにゃ。
うにゃ?
でも、ものすごくねむいのにゃ……。きもちいいのにゃ………。
「おーい!悠里ぃ!……ハァ、ハァ、ハァ……もうっ!どこに行っちゃったのか心配したわよ!すぐいなくなるんだから!」
「あらあら、ごめんなさい渚ちゃん」
「ねぇ、ところでさ。こんなとこで何やってんの?……あら?なつかしーーっ!!これアザラシのマタちゃんのお墓じゃなーい!!へぇー、こんなとこにあったんだ。それよりさ、久しぶりに会ったんだから美味しいケーキでも食べに行こうよ!この辺にお勧めのカフェ見つけたんだ」
「あらあら……。渚ちゃんは食いしん坊さんね」
「ほら、早くぅ!悠里ぃ!こんなアザラシのお墓しかない所で、えびせんなんかひろげてないでさぁ」
「ハイハイ……。じゃあね、猫ちゃん……。お友達といつまでも仲良くね……。それじゃあね………バイバイ」
うにゃ〜ん。ありがとうなのにゃ……バイバイなのにゃ……
― 終 ―
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著作者:虹夢翼 ホームへ
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